SDGsを経営に取り入れる

 

SDGsとは

 

 

SDGs(エスディージーズ)とは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。

 

2015年9月に国連の持続可能な開発サミットで採択されました。

 

SDGsは、国連加盟193か国が2016年〜2030年の15年間で達成する行動計画です。

 

2030年に向けた17の大きな目標と、それらを達成するための具体的な169のターゲットで構成されています。

 

ターゲットは基本的には、具体的にどのような状態になれば達成と言えるのか、達成するための方針、実行における注意点や必要なことなどが記載されています。

 

 

例えば目標の1である「貧困をなくそう(あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる)」のターゲット1.1では、「2030年までに、極度の貧困(現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されています)である人々が、世界中のどこにもいないようなること」という状態を目標達成としています。

 

目標達成のために、ターゲット1.3で「世界の各国は、2030年までに貧困層等に対し十分な保護の実現を達成するために、その国々で適切な社会保護制度を設け、貧困対策を実施しましょう」という方針をかかげています。

 

そして、ターゲットの1.aでは「貧困撲滅を達成するためには、開発協力の強化を通じて、さまざまな供給源からの多大な資源の動員を確保すること」、1.bでは「国、地域、国際レベルで、貧困層や貧困に陥りやすい女性や子どものことを考えた適正な政策的枠組みを設置すること、貧困撲滅のための行動への投資を支援すること」といったことが、目標達成のために必要であるとしています。

 

こうしたターゲットを設定することで、目標を理想で終わらせないように、具体的に実践していけるようにしています。

 

さらに、ターゲットには具体的な数値になっていないものがあるため、ターゲットをより具体的にした232のインディケーター(指標)というものもあります。

 

目標とターゲット、その他詳しく見たい方は以下をご覧ください。

 

国連広報センターHP SDGs17の目標

 

(一社)イマココラボHP SDGsとは

 

 

 

 

SDGsの前身、「MDGs」

 

2015年に策定されたSDGsは、この年に突然生まれたわけではありません。

 

2000年から2015年にかけて進められた目標であるMDGs(ミレニアム開発目標)は、開発途上国を対象に8つの目標と21のターゲットで構成され、この期間において一定の成果はあげましたが、ほとんどは達成できないまま終了しました。

 

MDGsの成果と反省を活かしつつ、2015年にMDGsを継承した枠組みとして策定されたのがSDGsです。

 

分かりやすい映像として、以下に、国連広報センター(UNIC Tokyo)のYouTubeを掲載します。

 

出典:YouTube  国連広報センター(UNIC Tokyo)

「ミレニアム開発目標(MDGs)」から「持続可能な開発目標(SDGs)」へ

 

MDGsでは8つの目標と21のターゲットで構成されていましたが、SDGsではさらに多くの目標とターゲットが設定されています。

 

SDGsの目標やターゲットが多くなった要因の一つは、先進国と開発途上国の両方が対象になったことにあります。

 

MDGsが達成できなかった理由のなかで、開発途上国の問題を開発途上国のみでは解決が難しいという問題が多々ありました。グローバル化した今日の世界では、国の枠組みを超えた複合的な原因が多いからです。

 

そのため、開発途上国の問題を抜本的に解決するのであれば、先進国も含めた世界全体の枠組みで対策しなければならないということが、MDGsを通してわかってきました。

 

SDGsでは、そうしたMDGsの反省からも、全世界で解決していこうという包括的な枠組みが策定されています。

 

 

SGDsにおける3つのキーワード

 

 

SDGsの取り組みを推進していくうえで、重要なことが3つあります。

 

地球規模の取り組み

 

SDGsは全世界共通の目標であり、地球規模の取り組みです。

 

よって、地域の取り組みは地域で考える、海外の取り組みは海外で考えるといったものではなく、全体で考え取り組んでいくといったことが大切になります。

 

日本の各地域における課題と同様な課題を抱える地域は海外にもあります。日本の地域の課題が解決したならば、同じような課題を抱える海外の地域に横展開をしていくといった視点が重要になります。

 

反対に、海外の取り組み事例などを参考に、日本の地域の課題を解決できないかといった視点を持つことも重要です。

 

そのためには、SDGsの活動を広く世界に発信していく仕組みづくりも必要になります。

 

 

 

バックキャストによるアプローチ

 

バックキャストとは目標を設定する際に、現状の延長線上で考えるのではなく、先にありたい未来の姿を描き、そのためには今何をやるべきかを考える方法です。

 

バックキャストと反対の方法にフォアキャストがあります。フォアキャストは現状から何をやるべきかを考え、段階的に物事をすすめていく方法です。この場合、目標を掲げた未来の姿は現在の延長線上にあることになります。

 

 

どちらの方法が良いとか、優れているということではありません。設定する目標や、置かれている環境などによって使い分けることが重要です。

 

バックキャストで目標を設定し成功した例として、1960年代のアメリカで実施された、アポロ計画における人類初の月面着陸プロジェクト「ムーンショット」があります。

 

ムーンショットという言葉は、アメリカの第35代大統領ジョン・F・ケネディが「1960年代が終わる前に、月面に人類を着陸させ、無事に地球に帰還させるという目標達成に、我が国は全力を傾ける」と述べたことに由来します。

 

1969年に計画は実現しました。このことからムーンショットは、困難または莫大な費用がかかるが、実現すれば大きなインパクトが期待できるもの、という意味の言葉となりました。

 

大統領の号令もなく、今の技術を一歩一歩進化させればいつかは月へたどりつくだろうといった現在の延長線上を描く方法では、1960年代はおろか、その10年後でも月へたどり着けなかったのかもしれません。

 

SDGsの目標もバックキャストにより設定されています。2030年以降の未来の世界はもう描かれており、描かれた未来の世界に向けて、今から世界を変革させるために17の目標が設定されています。

 

SDGs達成のためには、フォアキャストで今できることだけを段階的に進めるだけでは到底時間が足りません。それに地球にある資源も限られています。

 

 

フォアキャストで段階的に進めるための時間や資源は、もはや地球には残されていないこともSDGsには織り込み済みなのです。

 

そのため、バックキャストで先にありたい未来を描いて目標を設定し、目標達成のために今なにが必要なのかということを考えなければならないのです。

 

目標達成には、既存のテクノロジーや社会システムでは足りないことも多くあります。しかし現在では、開発がある一定の水準にまで高まると、爆発的に伸びていく事例も少なくなく、今後様々な分野でのイノベーションが期待されます。

 

誰一人取り残さない

 

SDGsは、17の目標を達成するのと同時に、世界中の誰一人として置き去りにしないことを目標にしています。

 

誰一人取り残さない未来を達成するためには、トレードオフの関係に注目することが大切になります。

 

トレードオフとは、何かを達成するためには何かを犠牲にしなければならない関係のことです。

 

例えば、AIが発達したことにより便利になる一方で、AIが人間の仕事を奪ってしまうということが言われています。

 

このようなトレードオフの関係を放置したままでは、SDGsは達成できないことになります。

 

トレードオフを解消するためには一つ上の視点から全体を見直す必要があります。

 

トレードオフに注目しなければ、せっかく社会課題を解決したとしても、そのことによって不利になる団体や個人がでてくるかもしれないことに気づけません。

 

非常に難しい問題ですが、現在あるトレードオフを解消する仕組みができたとしたら、それは世界を変革させうるイノベーションと言えるのかもしれません。

 

 

 

SDGs経営を目指す

 

 

SDGsを経営に取り入れることは、事業活動を持続可能な活動とするための

 

現在SDGsを経営に取り入れる手法などは、書籍やネットにあふれています。

 

しかし、

 

まず本質を知る
5p
誰一人取り残さない
システム

 

 

課題を設定 バックキャスト

 

情報入手
ソサエティ5.0

 

リソースの把握

 

測定 ローカルインディケーター グローバルターゲット

 

SDGsを経営に取り入れる意義

 

SDGsを経営に取り入れるということは、「理念経営」を実践することに他なりません。

 

営利団体、非営利団体にかかわらず、法人、個人問わず、必ず何かしらの企業理念、経営理念を持っています。

 

近年では、「モノではなくコトを売る」というように、商品やサービスを通してお客さんや社会にどう貢献したいのかということが重要になっています。

 

SDGs経営を推進するメリットの一つは、経営理念にSDGsの目標を結び付け、事業活動を通して地域や世界にどのようなインパクトを与えていくのかが、社内外へ明確に発信できることにあります。

 

そのためにも、経営理念は明文化しておく必要があります。経営理念はあるが明文化はしていないという企業は多いのかもしれませんので、ぜひ明文化してみてください。

 

 

SDGs経営の導入ステップ

ステップ1
経営理念については、難しく考える必要はありません。

 

現状行っている事業やこれからはじめたい事業について、まずはシンプルになぜ?を明らかにしていけば良いと思います。

 

なぜその事業をはじめた(はじめたい)のか

 

 

 

 

 

経営理念は企業の目的

 

経営理念を明らかにすることで、事業活動はさまざまな可能性を生み出します。

 

例えば、ANAグループの経営理念は、「安心と信頼を基礎に、世界をつなぐ心の翼で夢にあふれる未来に貢献します」というものです。

 

ANAグループでは、この理念(目的)を達成するために様々な事業を行っていますが、一番よく知られているのは航空事業でしょう。

 

航空事業やその他の事業を展開しているのは、目的を達成するための手段にすぎません。

 

目的はあくまで理念にあります。航空事業であれば、旅客機内外のサービスやチケット販売という手段を使って、遠く海外に離れた人とも交流できるという体験を提供することで、世界をつなげ未来に貢献するという目的に向かっています。

 

現状は航空機を利用して事業を行っていますが、時代や環境の変化により航空機を利用するという手段は変化していくかもしれません。

 

実際にANAでは、ANAアバターというプロジェクトをスタートさせています。

 

ANAでは、「アバターとは、遠隔で、「見て」、「聞いて」、「触る」ことができ、自分の意識、技能、存在感  を遠隔地に瞬間移動させることができる新たな移動手段」としています。

 

つまり、航空機などに乗って遠方へ行かなくとも、あたかもその場で対面しているような体験を提供する事業に着手したのです。

 

自ら、航空事業の阻害要因を作ったようにも見えますが、短期的には阻害要因となったとしても中長期的には成長する産業に着手したとも言えます。

 

お客さんは空の旅か、アバターか選択することもできますし、なにより「安心と信頼を基礎に、世界をつなぐ心の翼で夢にあふれる未来に貢献します」という理念に合致しています。

 

さらに、この事業展開で、今までにない新しいパートナシップが生れることになるでしょう。

 

このように、理念(目的)が明確であれば、手段は時代の変化やテクノロジーの発達によって既存事業をいかようにも考えることができます。

 

理念によらず、手段に固執した事業からは、このような柔軟性が生まれにくいのかもしれません。

 

 

企業ドメイン
事業ドメイン

 

経営理念とSDGsの目標

 

SDGsは世界共通言語と言われています。目指す目標が同じであれば、異業種であろうと海外の事業者であろうとパートナーになれます。

 

 

 

世界共通のニーズ

 

SDGsの目標を企業理念に照らし合わせ、目標を設定し、実践すれば世界共通の社会的なニーズに応える企業となることができます。

 

アウトサイドイン

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