□相続関係について

 

◇相続とは?

 

 相続と聞いて何を思い浮かべるでしょう?おそらくは、身近な人がお亡くなりになったことから始まる手続きを思い浮かべるのではないでしょうか?おおまかに相続とは、人の死亡によって開始する、被相続人から相続人への財産権(権利義務)の包括的移転であると言えます。
 日本では、相続において包括承継主義をとっています。お亡くなりになった方(被相続人)の財産権(不動産・預貯金など)を法定の身分(法定相続人)に着目して、原則として財産権を全て承継させることとしています。この財産権の中には負の財産(債務など)を含みます。したがって、いわゆる借金なども承継の対象となります。
*ただし、お亡くなりになった方特有の身分的地位「一身専属権」(生活保護の受給権や株式会社の役員の地位など)は相続の対象とはなりません。また、受取人がご本人様でない(配偶者や子など)生命保険等も、相続財産にはなりません。

 我が国の民法では、第882条以下相続に関する規定を置いています。相続は人の死亡によって開始するため、ご遺族の皆様方はお葬式やご供養など多忙であり、かつ大切な近親者を亡くしたという悲しみにくれることとなることでしょう。そのため相続の手続き(遺産分割協議・不動産の所有権移転登記手続きなど)は後回しになってしまい、長い間手続きがされなかったりしている現状がございます。特に遺産分割協議は相続人全員で行うことが必要でありますので、相続人の一部が遠方におられる場合など、手続きが長期化する場合もございます。

 

 また、相続を承認するかしないかについても検討が必要です。民法915条では、原則として相続人は自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内(熟慮期間)に、承認(単純・限定)または放棄の意思表示をすることとされています。この期間内に承認または放棄の意思表示をしない場合は、相続を単純承認したものとみなされます。同法921条1項2号)

選択できる種類 効果 手続き
単純承認 相続人は、一身専属的な権利を除いて、被相続人の権利義務を包括的に承継する。一般的な相続。 申述や届出に方式はない。熟慮期間を経過した場合など、一定の事由により単純承認とみなされる場合あり。
限定承認 相続した財産の範囲内で被相続人の債務を弁済し、余りがあれば相続できる制度。手続きが煩雑であり、相続人全員で家庭裁判所に申述しなければならないなど不便も大きい。 熟慮期間内に、相続人全員で限定承認をする旨を家庭裁判所に申述する必要があり、同期間内に財産目録を調整し、清算手続きを開始する。
相続放棄 相続の効果を全面的に拒否する意思表示。相続放棄をした者は、初めから相続人ではなかったものとみなされる。 熟慮期間内に家庭裁判所に放棄する旨を申述する。各相続人ごとの意思表示でよい。

 

□相続は、どなたにも必ず起きます。

 最近では、ニュースや新聞等でも相続について取り上げられることが多くなってきました。しかし、相続は身近なものと感じられるようになっているのでしょうか?「まだまだ分からないことがたくさん!」と思われている方が多いのではないかと思います。

 相続は、どなたでも必ず起こります。相続を「争族」にしないためにも、生前に備えておくことを、お奨めします。

 

被相続人の預貯金はいつ、誰のものになる? → 相続人の範囲(法定相続人)、相続財産の範囲
被相続人の不動産はどうのような割合で承継する? → 法定相続分、遺産分割
法定相続分と異なる割合では承継できないの? → 遺言書を残す(遺産分割結果の指定、遺贈)
法定相続人なのに、相続財産がもらえないこともあるの? → 遺留分減殺

 

などの、相続に関する様々なお悩みをお抱えの方も多いのでは無いでしょうか?

相続手続きは、当事務所にお任せください!

 行政書士は予防法務のスペシャリストです。相続を「争族」にしないための対策を、依頼者様との面談等を通じて、ご提案させていただきます。
 当事務所では、遺言書の作成を強くお勧めしております。遺言書作成のために遺言書原案のご提案をさせていただきます。推定相続人調査、相続財産調査などを行い、残される相続人の方々のお気持ちにご配慮しつつ、利便性を考慮した内容をご提案させていただきます。
 また、遺言書がなく相続が起こってしまった場合は、相続人全員での遺産分割協議が必要になります。当事務所では、相続財産目録作成、遺産分割協議書作成及び金融機関への手続き等を行います。その他、相続税の申告や不動産登記などは、当事務所が窓口となり、信頼できる他士業の先生と連携して業務を進めてまいります。

 遺言書は、公正証書遺言を作成されることをお勧めします。普通方式の遺言書には下記表の3類型がございますが、紛失・偽造等の防止、遺言内容の確実な実現などの面からも、公正証書遺言が一番良いと考えます。(ただし、費用が高くつくというデメリットもございます)

*遺言書の種類と比較

自筆証書遺言 公正証書遺言 秘密証書遺言
作成方法

遺言者が、自分で「全文」「日付」「氏名」を自書して押印する
*法改正あり(下記)

証人2名の立会いの下、公証人が遺言内容を読み上げ、遺言者が確認する
内容に間違いがなければ遺言者、公証人、証人がそれぞれ署名・押印する

@遺言者が、証書に署名し押印する
A遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章で封印する
B遺言者が、公証人1人および証人2名に封書を提出して、自己の遺言書である旨、並びにその筆者の氏名住所を申述する
C公証人が、その証書を提出した日付および遺言書の申述を封紙に記載した後、遺言者および証人とともにこれに署名し押印する

作成費用 不要

財産の額や内容に応じて公証役場に手数料を支払う
*1万7000〜4万3000円程度が多い

一律 1万1000円
証人 証人不要 証人2人以上が必要(通常2人) 証人2人以上が必要(通常2人)
保管方法

本人が保管、または信頼できる者に保管を依頼する
*法改正あり(下記)

「原本」は公証役場に保管される
「正本」「謄本」は遺言者に交付され、それぞれ本人が保管、または信頼できる者に保管を依頼する

本人が保管、または信頼できる者に保管を依頼する
家庭裁判所での検認 検認必要 検認不要 検認必要
メリット 費用がかからず、手軽にできる

公証人と証人2名の立会いの下、公証役場で作成されるため、真正が担保される
遺言の内容がほぼ確実に実現される可能性が極めて高い

公証人と証人2名の立会いの下、公証役場で作成されるため、遺言の存在が明確になる
内容の秘密が保てる

デメリット

紛失・偽造・破棄・未発見などの危険があり、本人の意思で作成されたかどうかの信憑性も低い
検認の申立を行う必要があり、執行までに時間・負担がかかる
筆跡鑑定等で紛争性を帯びる可能性あり

作成に手間がかかる(公証役場、公証人の予約など)
手数料がかかる

紛失・破棄・未発見などの危険がある
内容が遺言者にしかわからないため、不当な遺言を押し付けられて作成した場合であってもチェック機会がない
あまり利用されていない

*相続法改正情報 → 法務省 相続法改正
◇自筆証書遺言に関する改正ポイント
・自筆証書遺言の作成方法緩和(財産目録は自筆でなくてもよい)
・法務局で自筆証書遺言書を保管する(遺言書保管法)

 

 

□遺言書を残す目的は?

 遺言を残す目的は、遺言者が亡くなった後、すみやかに遺言の内容に沿った財産分割が実現されることです。相続人の方々にとって、場合によっては負担となる遺産分割協議等を経なくても、遺言書の内容によって、公正に財産分けができるメリットがあります。つまり、遺言書の内容を充実させることで、不要な「争族」に発展しないよう、予防ができます。

 原則、遺言はどのような財産を、誰に、どのぐらい残すのかは遺言者の自由です。
 しかし、*遺留分に配慮することをお勧めします。(*遺留分とは、相続人となる人が相続財産を受け取れる最低保証分のことです。例えば、長男に全財産を残す遺言をしたとしても、配偶者、次男等、相続人となる方は遺留分の限度で、長男に財産分配の請求ができます。民法では遺留分を超える遺贈等を無効とはせず、遺留分減殺請求の対象となるにすぎないこととしています)
 当事務所でも、遺留分に配慮した遺言書を作成することをご提案しております。

 遺言書を残すことを迷っている方は、こんな理由がありませんか?
@家庭が円満である → 自分が亡くなった後も円満であると言い切れますか?
Aたいした財産がない → 下記「遺産分割事件の財産額」参照。少額でももめます。
B遺書のようで縁起が悪い → 遺言書は手紙ではありません。財産分割の方法を示した書面です。
Cまだまだ元気なので早い → 遺言書を残すには「遺言能力」が必要です。高齢になったり、病気を患ったりした後は、遺言を残せない可能性もあります。元気なうちに残されることをお勧めします。
D遺言書に記載した財産は残さなければならないから → 遺言は遺言者がお亡くなりになった瞬間に効力が生じます。つまり生きている間は何の障壁にもなりません。例えば、「A土地は妻に相続させる」と遺言書に記載した後、A土地を誰かに売却したとします。生前行為で遺言に抵触する行為をした場合、抵触した遺言の内容は撤回したものとみなされます。よって遺言で「A土地は妻に相続させる」とした部分は効力を生じないことになります。そして、遺言は何度でも撤回することができます。遺言者の生活その他の状況の変化等に応じて、遺言書の内容を変えることも自由です。
E遺言の内容は実現される? → 遺言書に遺言執行者の選任を記載しておけば、その者が遺言を執行します。遺言執行者が選任されているのに、勝手にした相続財産の処分行為は無効です。

 

 遺言書は、遺言書を書かれる方の生前の財産整理、人生の振り返りなどにおいても非常に意義があります。また、残されたご遺族の方々がすみやかに相続手続きを行える利便性や遺産分割協議等の負担の解消などにも有効であり、何より残された大切な家族を思って遺言書を作成することで、無用の争いを防止することができます。
 下記表をご覧いただければわかるように、財産が1000万円以下であっても、家事事件(遺産分割事件)に至る割合は高いと言えます。

*遺産分割事件の財産額(H29年度:法務省司法統計より)

総数 1,000万円以下 5,000万円以下 1億円以下 5億円以下 5億円超 算定不能・不詳
7,520 2,413 3,266 897 505 24 415
32.1% 43.4% 11.9% 6.7% 0.3% 5.5%

 

 

□遺産分割協議

 当事務所では相続が開始した場合、以下の調査・書類の作成を行うことでスムーズな相続財産の分配に貢献します。
 原則、遺産分割協議は口頭で足り様式はありませんが、遺産分割協議書は、後の蒸し返しを防止する(言った・言わない)書面としても有益です。

相続人の調査・相続財産調査
財産目録・相続関係説明図の作成
遺産分割協議書の文案の作成
遺産分割協議の案内
遺産分割協議書の作成
銀行手続

 

*上記書類を作成したうえで、必要があれば当事務所を窓口として、他士業と連携して業務を行います。

不動産の移転登記 → 司法書士
相続税の申告 → 税理士

 など

 当事務所は、依頼者様個人の代理人というわけではございません。あくまで依頼者様は遺産分割協議において、相続人全員の代表者ということになります。遺産分割協議は相続人全員で話し合い、合意することによって成立します。当事務所では、相続人調査や財産調査を行い、遺産分割協議のスムーズな進行役を担い、相続人全員が合意した協議を書面にする(遺産分割協議書の作成を行う)ことを業務としております。
 よって、依頼者様個人の考えによる財産分割方法を、遺産分割協議の場において、他の相続人全員の合意をとることを約束できるものではございません。あくまで紛争に至らないようにするために、相続人全員に対し、中立の立場で、ご相談をお受けしております。

 当事務所が受任後、万が一、遺産分割の協議過程等で、紛争性を帯びるまたは紛争状態になってしまった当事務所が判断した場合は、行政書士法の定めるところにより業務を継続することはできません。その場合はやむを得ず辞任させていただきます(例えば、遺産分割協議後に遺産分割協議書の作成委任を相続人の内一人でも拒否した場合など)。その後は、依頼者様の必要に応じて、弁護士を紹介させていただくこともできます。
 紛争へと発展しないように、必ず面談等を通じて業務をすすめてまいりますが、あらかじめご了承下さい。

 行政書士に相続業務を依頼するメリットは、中立性にあると考えます。我々専門家が、特定の相続人の依頼を受け、遺産分割協議に参加する場合、構えてしまう相続人の方もいらっしゃいます。
 行政書士は、紛争その他の法律事件には関与することができません。よって、紛争を事前に予防するよう心がけています。遺産分割協議においても、主体は相続人全員であり、行政書士は協議の書記および交通整理役です。事前に依頼者様の分割案に基づいて助言等も行います。先にも記載しましたが、無理な分割方法でのご依頼は、紛争の可能性からもお受けしかねます(または弁護士に依頼することをお勧めします)
 以上のことを、依頼者様以外の相続人の方々にもご説明いたします。公正な遺産分割を実現するために、中立で業務を行う行政書士は、予防法務の面でお役に立ちます。