古物営業許可制度
古物とは
古物営業法において「古物」とは、一度使用された物品(鑑賞的美術品及び商品券、乗車券、郵便切手その他政令で定めるこれらに類する証票その他の物を含み、大型機械類(船舶、航空機、工作機械その他これらに類する物をいう。)で政令で定めるものを除く。以下同じ。)若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたものをいいます。
・1度使用された物品である
使用とは、消費者が購入した物品を本来の使用目的に従って使用したことを指します。
例えば、衣類は「着用」すること、自動車等は「運行の用に供する」こと、鑑賞的美術品は「鑑賞」することで使用したことになります。
・使用されない物品で使用のために取引されたものである
使用していなくても、消費者が使用目的で購入した物品は古物に当たります(新品で購入したとしても古物です)
例えば、家電量販店のようなところが家電を販売目的で仕入れ、使用していない場合は古物になりません。
・これらの物品に幾分の手入れをしたものである
幾分の手入れとは、その物品本来の用途・目的に変化を及ぼさない程度の修理・加工をいいます。
例えば、衣類を修理してまた着れるようにすることは衣類の本来の用途・目的に沿っていますが、衣類を集め加工してエコバックになどにリメイクした場合は、本来の用途・目的に沿っていないので幾分の手入れには当たりません。
このような古物を取り扱う営業を行う場合に、古物営業許可が必要になる場合があります。
また、古物は古物営業法施行規則により、その区分が定められています。
区分 | 該当例 |
---|---|
美術品類 | 書画、彫刻、工芸品等 |
衣類 | 和服類、洋服類、その他の衣料品 |
時計・宝飾品類 | 時計、眼鏡、宝石類、装身具類、貴金属類等 |
自動車 | その部分品を含む |
自動二輪車及び原動機付自転車 | これらの部分品を含む |
自転車類 | その部分品を含む |
写真機類 | 写真機、光学器等 |
事務機器類 | レジスター、タイプライター、計算機、謄写機、ワードプロセッサー、ファクシミリ装置、事務用電子計算機等 |
機械工具類 | 電機類、工作機械、土木機械、化学機械、工具等 |
道具類 | 家具、じゅう器、運動用具、楽器、磁気記録媒体、蓄音機用レコード、磁気的方法又は光学的方法により音、影像又はプログラムを記録した物等 |
皮革・ゴム製品類 | カバン、靴等 |
書籍 | |
金券類 | 商品券、乗車券及び郵便切手並びに古物営業法施行令第一条各号に規定する証票その他の物をいう |
古物営業法施行令第一条各号に規定する証票その他の物とは、航空券、動物園などの入場券、タクシーチケットなどがあります。
古物営業とは
古物営業法において、「古物営業」には以下の3種類の営業があります。
1. 古物商:古物商とは 古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受け て売買し、若しくは交換する営業をいいます。
※ 古物商の許可が必要になります。
2. 古物市場主:古物市場主とは古物商間の古物の売買又は交換のための市場を経営する営業をいいます。
※ 古物市場主の許可が必要になります。
3. 古物競りあっせん業者:古物競りあっせん業者とは古物の売買をしようとする者のあっせんを、競りの方法(インターネッ ト・オークションに限る。)により行う営業をいいます。
※ 古物商等の許可は不要ですが、営業開始の日から2週間以内に営業開始 の届出が必要になります。
◎古物営業法においては、盗品等の売買の防止、速やかな発見等を図るため、古物営業に係る業務について必要な規制等を行い、もって窃盗その他の犯罪の防止を図り、及びその被害の迅速な回復に資することを目的として許可制度を設けているため、古物営業に該当する場合は営業許可が必要です。
1.の古物商営業許可の必要または不要は以下の表をご覧ください。
古物営業許可が必要 | 古物営業許可が不要 |
---|---|
古物を買い取って売る | 自分のものを売る |
古物を買い取って修理して売る | 自分のものをオークションに出品する |
古物を買い取り部分的に売る | 無償でもらったものを売る |
古物を買い取らず、売った後に手数料をもらう | 相手から手数料などをとって回収したものを売る |
古物を別のものと交換する | 自分が売ったものを相手から買い戻す |
古物を買い取ってレンタルする | 自分が海外から買ってきたものを売る |
国内で買い取った古物を国外に輸出して売る | |
上記の行為をインターネット上で行う |
古物営業許可が必要な場合は、都道府県公安委員会に許可を受けなければなりません。
古物営業申請は、営業所を管轄する警察署で行います。
古物営業許可の基準
古物営業法において、公安委員会は以下の欠格事由に該当する場合は許可をしてはならいとされています。
1. 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
2. 禁錮以上の刑に処せられ、または第31条に規定する罪(無許可営業等)若しくは刑法第235条(窃盗罪)、第247条(背任罪)、第254条(遺失物等横領罪)若しくは第256条第2項(盗品有償譲り受け等の罪)に規定する罪を犯して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることのなくなった日から起算して5年を経過しない者
3. 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
4. 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第12条若しくは第12条の6の規定による命令又は同法第12条の4第2項の規定による指示を受けた者であって、当該命令又は指示を受けた日から起算して3年を経過しないもの
5. 住居の定まらない者
6. 第24条第1項(営業の取消等)の規定によりその古物営業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して5年を経過しない者(許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日前60日以内に当該法人の役員であった者で当該取消しの日から起算して5年を経過しないものを含む)
7. 第24条第1項(営業の取消等)の規定による許可の取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該取消しをする日又は当該取消しをしないことを決定する日までの間に第8条第1項第1号(営業の廃止)の規定による許可証の返納をした者(その古物営業の廃止について相当な理由がある者を除く)で、当該返納の日から起算して5年を経過しないもの
8. 心身の故障により古物商又は古物市場主の業務を適正に実施することができない者として国家公安委員会規則で定めるもの
9. 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者。ただし、その者が古物商又は古物市場主の相続人であって、その法定代理人が上記1から8及び下記11のいずれにも該当しない場合を除くものとする
10. 営業所(営業所のない者にあっては、住所又は居所をいう。以下同じ)又は古物市場ごとに第13条第1項の管理者を選任すると認められないことについて相当な理由がある者
11. 法人で、その役員のうちに上記1から8までのいずれかに該当する者があるもの
簡単にまとめますと以下のようになります。
・破産手続開始の決定を受けていないこと
・禁固以上の刑や規定された罪を犯して罰金刑に処されていないこと(または5年経過している)
・暴力団関係者等ではないこと
・住民票に記載された住所に住んでいること(例外あり)
・古物営業許可の取消をされたことがないこと(または5年経過している)
・古物営業を適正に実施できる状態であること
・法人である場合、役員が上記に該当しないこと
・未成年ではないこと(例外あり)
・営業所ごとに管理者を選任することができること
※未成年の場合でも、婚姻や法定代理人から営業の許可を与えられたことによって、営業に関し成年者と同一の行為能力を有していれば営業許可を受けることができます(書類にて証明が必要)
ひとつでも該当する場合は、許可を受けることができませんので、事前に必ず確認してください。
申請に必要な書類など
古物商営業許可申請に必要な書類(正本1通)
※令和元年12月14日から「登記されていないことの証明書」は不要となりました。
※都道府県によっては営業所の使用権原を証明する書類(賃貸借契約書のコピーなど)が必要になる場合があります。
※参考 警視庁HP 添付書類の説明
※申請書等様式 福岡県警HP 申請書等様式
許可申請手続きのながれ
営業所(営業所のない方は、住所又は居所)又は古物市場の所在地を管轄する警察署(又は分庁舎)の生活安全課(係)に、許可申請書および添付書類を提出してください。
申請手数料は19,000円です。
◆2つの県にそれぞれ営業所を設ける場合
それぞれを管轄する公安委員会から個別の許可を受ける必要があります。
◆同一県内に、複数の営業所を設けて古物商等を営もうとする場合
営業所等を管轄する公安委員会から、一つの許可を受ければ足りますので、営業所、古物市場ごとに許可を受ける必要はありません。
申請書提出後、原則40日以内に許可、不許可の処分がされます。
古物商等の遵守事項等について
古物営業には一定の義務があり、ルールを遵守し営業しなければなりません。
基本的な義務は以下のとおりですので参考にしてください。
標識の掲示義務等
古物商又は古物市場主は、それぞれの営業所若しくは露店又は古物市場ごと、公衆の見やすい場所に、古物営業法施行規則で定められた標識を掲示しなければなりません。
また、インターネット上でホームページを利用して古物の取引を行う場合は、その取り扱う古物に関する事項とともに、その氏名又は名称、許可をした公安委員会の名称及び許可証の番号を、ホームページ上に表示しなければなりません。
管理者の選任義務
古物商又は古物市場主は、営業所又は古物市場ごとに、その営業所又は古物市場に係る義務を適正に実施するための責任者として、管理者一人を選任する義務があります。
古物商等は、営業所ごとに選任する管理者に、取り扱う古物が不正品であるかどうかを判断するために必要とされる一定の知識、技能又は経験を得させるよう努めなければなりません。
相手の身分確認義務
古物商を営み、「古物を買い受ける場合」、「古物と他の物を交換する場合」、「古物の売却又は交換の委託を受ける場合」には、取引き相手の真偽を確認するため、次のいずれかに掲げる措置をとらなければなりません。
@ 相手の住所、氏名、職業及び年齢(以下「住所等」といいます)を確認する(自動車運転免許証、被保険者証等の提示を受ける)
A 相手から住所等が記載された文書の交付を受ける(面前で署名したものに限る)
B 相手から住所等が記された電子署名付き電子メールの送信を受ける
C @からBまでに掲げるほか、これらに準じる措置として、国家公安委員会規則で定める方法により確認する
対面取引の場合は、相手に運転免許証などを提示してもらう方法が一般的です。
非対面取引の場合は、相手から住所が記載された電子署名付き電子メールを受け取る等方法がありますが、以下のような方法もあります。
帳簿等への記録義務等
「古物の売買」等により、古物を受け取り、又は引き渡したときは、その都度、所定の事項を記録しておかなければなりません。
◆帳簿等への記録義務
帳簿への記載、取引伝票の編綴、パソコン等へ入力のいずれかの方法により、所定の事項を記録する義務があります。
◆所定の事項
1. 取引の年月日
2. 古物の品目及び数量
3. 古物の特徴
4. 相手方の住所、氏名、職業及び年齢
5. 相手方の身分を確認した方法
◆帳簿等の保存義務
帳簿等を最終の記録をした日から3年間営業所等に備え付ける義務があります。
※参考 警視庁HP 帳簿の様式
身分確認及び帳簿等への記録が免除される取引
対価の総額が、1万円未満の取引の場合は身分確認及び帳簿等への記録が免除されます。
ただし、以下の古物の取引きの場合には、対価の総額が1万円未満の取引であっても身分確認と帳簿等への記録は免除されません。
1. 自動二輪車及び原動機付自転車(これらの部分品も含まれます)
2. 家庭用コンピュータゲームに用いられるプログラムを記録した物(家庭用コンピュータゲームソフトが該当します)
3. 光学的方法により音又は影像を記録した物(CD・DVD等で、カセットテープ、ビデオテープ、FD、MD、フラッシュメモリは対象外です)
4. 書籍(買取冊数が多い場合は、○○外○点等とまとめて記載できます)
自己が売却した物を、売却した相手から買い戻す場合も身分確認及び帳簿等への記録が免除されます。
また、古物を売却する場合については原則的に身分確認及び帳簿等への記録が免除されます。ただし、以下の古物については、売却した時も帳簿等への記録義務があります。
1. 美術品類
2. 時計・宝飾品類
3. 自動車(その部分品で1万円以上のものを含みます)
4. 自動二輪車及び原動機付自転車(その部分品で、1万円以上のものを含みます)
行商、競り売りの際の許可証等の携帯義務
古物商は、行商をし、又は競り売りをするとき、許可証の携帯義務があります。
※行商とは、営業所を離れて取引を行う営業形態をいいます。
※露店とは、一般公衆が往来する場所等に設けられた仮設の店舗をいいます。
※露店を出すこと、市場での売買や自動車等の訪問セールスも行商になります。
また古物商は、代理人等に行商をさせるときは、国家公安委員会規則で定める様式の行商従業者証を携帯させる義務があります。
※参考 警視庁HP 行商従業者証の様式
その他の義務(届出など)
◆許可証等の提示義務
古物商又は代理人等は、行商をする場合において、取引相手から許可証等の提示を求められたときは、許可証等を提示する義務があります。
◆営業の制限
古物商は、営業所又は取引相手の住所若しくは居所以外の場所において、古物を買い受け、若しくは交換するため、又は売却若しくは交換の委託を受けるため、古物商以外の者から受け取ることができません。
また、古物市場においては、古物商間でなければ古物を売買し、交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けることができません。
◆名義貸しの禁止
古物商又は古物市場主は、自己の名義をもって、他人にその古物営業を営ませることができません。
◆営業所等を変更する場合
営業所の@名称、A所在地、B主たる・その他の別の3項目について変更しようとする際は、変更予定日の3日前までに営業所・古物市場を管轄する警察署へ届出を提出する必要があります(新設や移転の変更予定の場合は、変更前に現に営業所を管轄している警察署へ届出ることとなります)
例:4月5日が変更予定日の場合、4月1日には届出が必要(4日、3日、2日の3日間をはさむ計算になります)
◆営業内容に変更があった場合
上記の@〜B以外の営業内容に変更があった場合は、営業所・古物市場を管轄する警察署に変更届出を提出しなければなりません。 変更日から14日以内(登記事項証明書を添付すべき時は20日以内)に届出が必要です。
◆競り売りをする場合
競り売りをする日の3日前までに、営業所・古物市場を管轄する警察署に届出を提出する必要があります。
◆仮設店舗営業をする場合
仮設店舗営業を開始する日の3日前までに、営業所・古物市場を管轄する警察署に届出を提出する必要があります(仮設店舗営業の場所の都道府県内に営業所がない場合は、営業所を管轄する警察署に提出することもできます)
※参考 福岡県警HP 各種届出の様式など